二台ピアノのためのソナタ
今日は、来たる9/6のリサイタルで演奏するモーツァルト作曲、二台のピアノのためのソナタについて解説します!
のだめカンタービレなどで登場し人気を博し、二台ピアノといえばこの曲が初めに思い浮かぶ方も多いかもしれません。デュオ結成時に、2人でいつか弾こうと考えていたので、今回演奏出来ることがとても楽しみです😄
モーツァルト練習風景
アルフレート・アインシュタインは自著『モーツァルト』(邦訳:浅井真男訳、白水社、1961)でこの作品について「両パートの均斉のとれた配分の技術、戯れる対話、装飾音型の精緻さ、そして楽器の音域の混合と十分な利用における音響感覚などのいっさいが、ぶきみなほど老練なので、一見《表面的》で娯楽的なこの作品が、モーツァルトが書いたもののうちの最も深く、最も熟した楽曲の1つとなっている。」と述べています。当時、二台ピアノの作品は非常に珍しいものであった中で、このようなソナタ形式の深みのある二台ピアノ作品を作曲したことは偉大な功績であるといえます。
この曲について、バッハのイタリア協奏曲のように、オーケストラを伴わない協奏曲と同種の発想により作られたと考える方もおられます。
第1楽章は、ソナタ形式であり、他楽章に比べて二台ピアノの対話が多い楽章です。この曲の中で最も有名かもしれません。
Primo(第1ピアノ)とSecond(第2ピアノ)の掛け合いだけでなく、同じパッセージが交互に繰り返されたり、片方が片方を追随する形で進行していく場面もあり、対話のような音楽が終盤に向けて高揚していく構図になっています。
第2楽章は同じくソナタ形式で、第1楽章に引き続き対話の部分が多く盛り込まれていて、掛け合いが楽しいです。特徴的なのは時折現れるトリルの部分で、ふんわりとした曲調に煌びやかな様相が加わっています。ラストでは短調の哀しみを感じさせるフレーズが現れ、その後幸せな雰囲気で曲を閉じます。
第3楽章は、ソナタ形式の要素を強く持っており、軽快に、颯爽と駆け抜けるような曲調で進行します。構成として、本来ソナタ形式であればある部分が無かったり、各構成部分の推移部がかなり長いことが特徴です。掛け合いの他に、同じフレーズを単独で交互に弾いたり、同じ音型で高低の異なるパッセージを同時に演奏するなど、二台のピアノの音の重なりが変化に満ちています。
1楽章ずつ簡単にご紹介しましたが、いかがでしたか?
自分も、パッとこの曲を聴いた時から、実際に譜読みをし、2人でこの曲を弾けば弾くほどその深みにはまっていきました。
全楽章を一気に聴く機会は少ないかと思います。
是非9/6のリサイタルでどうかこの曲にも注目して聴いて下さればと思います✨
参考
2006年度レコード・アカデミー賞「器楽部門」受賞
モーツァルト:フォルテピアノデュオ
~クラヴィーアの歴史と名器~
曲目解説
http://www.cembalo.com/discography/disc12_1.htm